青は藍より出でて藍より青し
2023/06/29
青は藍より出でて藍より青し
こんにちはちゅんぺいです。
今回は若き日のうたかたのような話を・・・・
日本の義務教育や高校の教育では案外近代史を教えない
私の記憶違いなのか、戦中戦後直ぐの近代日本史の詳細について学んだ記憶がないのです
現在と違って私が若いころはインターネット等なかった時代なので情報源としては、私が当時よく聞いていたFM放送のDJから入れることが多かったように思います。
また、その情報を展開し発展させていくのは、書店の雑誌や大学、地域の図書館の書籍からが多かったのではなかったかと思い出しています。
これら以外の手段としては、当時の寺町京極に沢山あった古本屋ではなかったかと、記憶しています。
当時の寺町京極は隣の新京極とは趣が異なり、古書店が点在し、昔ながらの喫茶店も多く、静かで文化の匂いがする、私のような田舎者の学生にとっては、とても風情のある商店街で暇な学生が時間を潰すのにはもってこいの場所でした。
そんな青春時代に、記憶は定かではないのですが、FMのJazz番組のDJからだったと思うのですが「白洲 次郎」を知りました。
彼は主に戦中にグローバルな視野で吉田内閣に提言した人物で知られる人ですが、白洲次郎以上に奥さんで、文筆家である「白洲 正子」に興味をもちました。
現在の様にネットサーフィンで多くの情報と知識を簡単に入手できる時代ではなかったので、白洲次郎から白洲正子に興味の主体が移るのに、それ相当の時間を要したように思います。
さて、白洲 正子ですが彼女が書した「十一面観音巡礼」の中に「世の中にこんな美しいものがあるのかと、私はただ茫然と見てとれた」と、十一面観音の美しさをたたえています。
彼女が驚嘆した美しい十一面観音とは、奈良県桜井市下 にある「聖林寺」に祀られている「十一面観音」の事を示しています。
この記述を知ってから何年もの間「聖林寺」を訪ねたことはなかったのですが、白洲正子の驚嘆した仏像への想いを書き記した内容は頭の片隅から離れませんでした。
それから時が過ぎ、今から20年ほど前に大神神社様の仕事をいただく事になりました。
縁とは不思議なもので、大神神社様と聖林寺は同じ桜井市にある事から、ある日聖林寺の十一面観音に出逢いに行きました。
それまでからも私は仏像美に少し興味がって、京都市内や奈良市内の仏閣を始め、京都や奈良の博物館等を訪ねていました。(私が仏像に興味を抱くことになった経緯については又機会があればお話しします)
言い換えれば仕事上の縁で、十一面観音とお会いできることになったのですが、その時の私には、白洲正子が記した程の感動・感銘は正直ありませんでしたが、確かに均整の取れた美しいお姿ではありました。
その後、間もなくして十一面観音は元々大神神社に付属する「大御輪寺」(現若宮宮)に祀られていた仏像で、廃仏毀釈に遭うまでは、神仏習合の地であった大神神社の「大御輪寺」に地蔵菩薩立像や日光菩薩立像・月光菩薩立像等と一緒に祀られていたものである事を知りました。
因みに現在、地蔵菩薩立像は法隆寺に、光菩薩立像・月光菩薩立像は西暦寺に祀られています。
西暦寺は紅葉のきれいな寺院で、2体の仏像は山寺の西暦寺にしっくりして溶け込んでいます。
廃仏毀釈が行われた明治時代に信仰の厚かった三輪地域の方々が、これらの仏像を「大御輪寺」から運び出して、それぞれの場所に隠したものと言われています。
始めて聖林寺を訪ねた時に観た十一面観音は、それ程の感動はなかったのですが、この仏像のお姿は何か心に残るものがあり、この後に3~4回聖林寺を訪ねています。
光菩薩立像・月光菩薩立像についても奈良市内の西暦寺を訪ねています。
それぞれの仏像は人の心を打つ何かを持っていて、心に残る何かがありました。
十一面観音については特に不思議な感動を抱く事となり「後ろ姿を含む全体を眺めてみたい」と、思うような気持になりました。
インターネットが発達した現在では簡単に十一面観音の事を調べる事が出来るのですが、十一面観音の人気はすごくて、数多くの書物が出版されています。
ネット上には十一面観音の事が沢山のブログに挙がっていました。
ネット上で十一面観音が東京国立博物館に展示されることを知り、その後に奈良国立博物館でも展示されることも知ったのです。
奈良国立博物館で展示された十一面観音は、広い空間に置かれ、じっくり後ろ姿を鑑賞する事が出来ました。
後ろ姿を含むお姿は、なんとも優雅で白洲 正子が感じた感動に近かったかもしれません。
さて、長々とお話しした十一面観音や日光菩薩立像・月光菩薩立像それに地蔵菩薩立像ですが、現在それぞれが祀られた寺院で、光り輝き参拝者の皆に愛されている唯一無二の存在になっています。
当然ではありますが、訪れる人はその姿を見て、元々は大神神社の「大御輪寺」に祀られていた仏像であった事など露とは知らず、また思い起させることもありません。
私の会社も他の会社同様組織変更や、それに伴う人事異動が行われます。
我が社の若い社員も多少の職場移動があり、また、新たな社員を迎え入れることにもなります。
今までの立場や立ち位置とは違う場所で成長し、力を発揮し、「青は藍より出でて藍より青し」の如くの、光を放つ人材になってくれることを願うばかりです。