制服の力
2025/12/12
制服の力
晩秋の高野山にお参りしてきました。
奥之院に参拝した帰り参道中央付近に、黒色のアウター(外套)が落ちているのが目に入りました。
高野山は日本国内だけでなく外国人も多く、参道は参詣者で溢れるほどでしたが、誰一人として参道の落とし物を拾おうとする人はいないどころか避けて歩いているのです。
「なんで誰もが見向きもしないで通り過ぎて行くんやろ」と、思いながら落とし物に近づいて、そうする事が当然のように、落とし物を拾い上げたのです。
私は遺失物法を知っており、教育を施している身ですから拾った落し物、つまり拾得物は、参道の管理者或いは警察に届けなければならない事後手続きは判っていました。にもかかわらず、私は落とし物のアウターを手にした、瞬間に事後になさなければならない処理を躊躇してしまったのです。
私が躊躇した理由は「これだけの多くの衆人環視の下で、私服姿の私が拾得物をしかるべき場所に届ける目的とは言え、この場から持ち去ったら、参道を歩く皆は私をどの様な目で見るのだろうか?遺失物横領だと思われないだろうか?」との思いが頭をよぎったからです。
それで、私は拾得したアウターを「落とし主はきっと参拝者であろうから、お帰りの際に棚に掛けたアウターを見つけて『親切な人が、こんなところに掛けてくれたんやわ』と、思ってくれるだろう」との身勝手な期待と浅はかな考えから法の定めに従わず、参道脇の柵に掛け置きました。
同時に「警備員の制服姿であったなら堂々と拾って、しかるべき所に届けるのに」と、自分の取った行動を弁明しながら、自分の取った行為を恥じると共に、この時ほど制服が持つ力を強く思い知らされた事はありませんでした。
私の取った勇気のない恥ずべき行動を、弁解すると共に自戒・反省を込めて、この場を借りて懺悔いたします。
警備員の皆様方は浅はかな私の行動とは正反対に、日頃から自信をもって誠意職務に精励されている姿に、敬服いたしますますと共に衷心より、お礼申し上げます。
長い文章になりましたが、お付き合いくださりありがとうございました。
最後に警備員の皆様いよいよ本格的な寒さを迎えますので、どうかご自愛の程お願い申し上げます。
